最終更新: 2026-04-28
はじめに
Ollamaで動かせるモデルを日本語性能で比較した実測ランキングを書く。
私は毎日 launchd + Ollama でSNS投稿生成・ブログ執筆・要約処理を自動化している。1日あたり50〜80回のAPI呼び出しをOllamaに投げていて、その中で「このモデル、日本語が思ったより壊れるな」「同じVRAMなのにぜんぜん違う」と気づくことが重なった。ネットで出回っている評価は英語ベンチマークが中心で、日本語の実用性については体感と乖離することが多い。
だから自分で測った。評価プロンプトは3種類——SNS投稿生成・ブログ導入文・技術的な要約——を各モデルに同じ条件で流した。評価軸は語彙の正確さ・文体の自然さ・推論の筋道、それぞれ5点満点。実行環境はMacBook Pro M5 32GB。モデルの詳細はOllama公式ライブラリで確認できる。
比較表
| # | モデル | サイズ | 語彙 | 文体 | 推論 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | qwen2.5:14b | 14B | 5 | 5 | 4 | 14 |
| 2 | qwen3.5:9b | 9B | 5 | 4 | 5 | 14 |
| 3 | qwen2.5:7b | 7B | 4 | 4 | 4 | 12 |
| 4 | gemma3:12b | 12B | 4 | 4 | 4 | 12 |
| 5 | deepseek-r1:8b | 8B | 4 | 3 | 5 | 12 |
| 6 | command-r:35b | 35B | 4 | 4 | 3 | 11 |
| 7 | gemma2:9b | 9B | 3 | 4 | 3 | 10 |
| 8 | llama3.1:8b | 8B | 3 | 3 | 3 | 9 |
| 9 | phi3.5:mini | 3.8B | 3 | 3 | 2 | 8 |
| 10 | mistral:7b | 7B | 2 | 3 | 2 | 7 |
MacBook Pro M5 32GB での動作確認済み。各モデルの推論速度(tokens/sec)は本文中に記載する。
1位・2位: qwen2.5:14b と qwen3.5:9b
日本語で使うなら Qwen 系一択になった。10モデルを試した中で最初に気づいたことで、以来ずっとそこに落ち着いている。
qwen2.5:14b は文章の「日本語らしさ」が段違い。句読点の打ち方から敬語の扱いまで、国産モデルと比べても見劣りしない。M5 32GB では約15 tokens/sec で安定して出力され、ストリーミングが詰まったことは一度もない。モデルファイルが約9GBあるので初回の ollama pull は数分かかるが、それ以降は問題なし。
ollama run qwen2.5:14b
qwen3.5:9b はサイズが小さいのに推論がシャープ。「なぜそうなるか」という論理展開が整理されていて、要約や分析タスクで特に効く。速度は約22 tokens/sec で qwen2.5:14b より速い。ただ文体の「温かみ」みたいなものは14bのほうが上——SNS投稿を生成させると、9bのほうが文章が少し固い。
私のパイプラインでは、SNS投稿生成(速度優先)は qwen3.5:9b、ブログ記事の下書き(品質優先)は qwen2.5:14b と使い分けている。
# ai_client.py での割り当て例
task_model_map = {
"sns_post": "qwen3.5:9b",
"blog_draft": "qwen2.5:14b",
"summarize": "qwen3.5:9b",
}
3位・4位: qwen2.5:7b と gemma3:12b
qwen2.5:7b はメモリが8〜16GBの環境でも動く現実解。精度は14bに劣るが「変な日本語」はほぼ出ない。速度は約28 tokens/sec で、軽量さと品質のバランスが取れている。ラズパイや古いMacで回したいなら、これが妥当な選択だと思う。
gemma3:12b はGoogleが作ったモデルで、英語での評価は高い。日本語は「惜しい」感じ——語彙は正確なのに、文体が少しだけぎこちない。「です。」「ます。」が機械的に並ぶ傾向がある。同じプロンプトに対してqwen2.5:14bは読み手に自然に届く文章を出したのに、gemma3:12bは「情報を伝えている」という感じの文章になった。SNSに貼るテキストとしては若干手直しが要る。実用は十分できる、けど差はある。
5位: deepseek-r1:8b——推論特化の一発芸
コードのデバッグやロジック整理には強い。日本語で「なぜこのエラーが出るか?」と聞くと、英語モデルと比べても筋道がクリアに返ってくる。
問題は thinking モード。デフォルトだと推論トークンを大量に消費して、レスポンスが3〜4倍遅くなる。think: false を指定した場合は約20 tokens/sec まで戻るので、日本語でサクッと使いたいなら明示的に切ること。
# thinking を切ると速くなる
curl http://localhost:11434/api/generate -d '{
"model": "deepseek-r1:8b",
"prompt": "このPythonエラーの原因は?",
"options": {"think": false}
}'
ブログ記事の下書きに使うのは向いていない。技術的な正確さに振っているぶん、文章が硬い。用途が絞られている分、5位という評価は少し不当かもしれない。
6位: command-r:35b——でも常用はきつい
Cohereの多言語モデル。35Bあるので ollama ps で確認するとVRAMを約28GB使う——M5 32GBのほぼ上限だった。日本語の精度は高いが、ストリーミング中に数秒の詰まりが出ることがある。速度は約7 tokens/sec で体感として明らかに重い。量産用途には向かない。「じっくり推論させたいとき限定」で使っている。
7位〜8位: gemma2:9b と llama3.1:8b
どちらも英語では優秀。日本語は「なんとか読める」レベル。
llama3.1:8b は日本語で長い文章を書かせると後半からおかしくなる。「…ということになります。このようにして…」という謎の接続詞ループが始まる。一度これをSNS投稿として流してしまって、フォロワーに「大丈夫?」とDMが来た。✨ 以来、英語タスク専用にしている。
gemma2:9b はllama3.1:8bよりはましで、短い文章なら問題ない。ただ日本語特有の文末表現——「〜だったりする」「〜かもしれない」——の使い方が不自然になる。読んで気づく手前で流してしまうと後悔するやつ。
9位・10位: phi3.5:mini と mistral:7b
phi3.5:mini は超軽量で起動が速い。3.8Bなので約45 tokens/sec が出る。日本語が弱すぎるので、英語のクイック要約とか分類タスクに絞って使う。日本語出力が必要な場面では出番がない。
mistral:7b は正直もう使っていない。日本語の助詞がランダムになる。試しにSNS投稿を10本生成させたところ、7本で助詞の誤用が見つかった。「が」と「は」を区別していない文章が出てくると、そこで信頼が終わる。
実際の選び方——3つのパターン
メモリ別の現実的な選択をまとめると、こうなる。
8GB環境: qwen2.5:7b か phi3.5:mini。日本語が必要ならqwen一択と思っていい。
16GB環境: qwen2.5:14b がベスト。余裕で動く。
32GB環境: qwen2.5:14b をメインに、deepseek-r1:8b をサブで並列運用できる。
# Ollama でモデル一覧確認
ollama list
# 使用メモリをざっくり確認
ollama ps
ollama ps の出力にはNAME・SIZE・PROCESSOR・UNTILの列が出て、現在メモリに展開されているモデルと占有量が確認できる。command-r:35b を動かしているときは PROCESSOR欄が「100% GPU」に張り付いて、他のプロセスが重くなる。これを見てから常用を諦めた。
まとめ
日本語Ollama環境では、Qwen系が頭一つ抜けている。これは2026年4月時点での実測であって、来月には変わっているかもしれない。モデルの更新サイクルは早い。
私が意識しているのは「評判で選ばず、自分のパイプラインで動かして判断する」こと。英語ベンチマークが高いモデルが日本語でも優秀とは限らない——これを痛感してから、毎回手元で試すようにした。mistral:7b で10本中7本助詞が崩れたことも、実際に動かさなければわからなかった。
この記事の評価は随時更新していく予定。モデルのリリース情報はOllama GitHubのリリースページが一番速い。