AI仕事実験

細かく選ぶのをやめたら、AIへの頼み方が会話になった

細かく選ぶのをやめたら、AIへの頼み方が会話になった

画像生成AIへ一枚頼むだけなのに、作り始める前から疲れることがある。雰囲気、構図、色、文字。選べる項目はどれも役に立つが、毎回すべてを先に決めようとすると、画像を作る仕事より「条件を選ぶ仕事」の方が大きくなっていく。

私も画像制作の頼み方を相談していた時、実際に音声入力で話しながら、細部を毎回選ぶことを面倒に感じていた。最初は、望む画像へ近づけるには、完成形を頭の中で固めてから細かく指定する必要があると思っていた。しかし途中で、今使っている音声入力のように、大まかな雰囲気を伝えて一案を出してもらい、それを見てから会話で詰めればよいのではないかと考えが変わった。

この記事で約束するのは、「音声にすれば必ず良い画像になる」という成功談ではない。まだ初案の品質も、修正回数が減るかも測っていない。ここでは、制作前に全部決める方式から、初案を見て判断する方式へ切り替えた理由と、会社員が明日試せる30秒の音声依頼手順、次に何を測るかを具体的にまとめる。

記事内容の要約図
この記事の流れ。Codex画像生成で作成。

画像を頼む前に、四つの選択で止まった場面

画像を頼む時、私が先に決めようとしていたのは、主に次の四つだった。

  • どんな雰囲気にするか
  • 何をどこへ置く構図にするか
  • どの色を中心にするか
  • 画像内へどんな文字を入れるか

一つずつ見れば、難しい判断ではない。問題は、一枚作るたびに四つを最初から選び直そうとしていたことだった。とくに、まだ目の前に何もない段階で構図や色まで言葉にしようとすると、「何が良いか」を考える前に「何を指定すべきか」で迷う。

私は、細かく伝えるほど外れにくくなると考えていた。曖昧な依頼をして、想像と違うものが出る不安も残っていた。そのため、用途だけでなく、配置や配色まで先回りして決めようとしていた。

ところが、このやり方では、AIへ任せる前に私が小さな完成図を作らなければならない。画像制作を助けてもらうはずが、依頼文を完成させるための準備が新しい作業になっていた。道具の機能が足りないというより、判断を置く順番が自分に合っていなかった。

ここで重要だったのは、「細部は不要」と決めたことではない。細部を決める時期を、初案の前から後へ移せないかと考えたことだった。

「全部決める」から変わった、判断を置く順番

細かな指定を減らすと聞くと、丸投げに見えるかもしれない。私も、雰囲気だけでは意図が伝わらず、かえって修正が増える可能性は気になった。

そこで、二者択一にしないことにした。「作る前に全部決める」か「何も言わずAIへ任せる」かではなく、人が最初に決めるものと、初案を見てから決めるものを分ける。

最初に人が伝えるのは、用途、見る相手、雰囲気の三つだけにする。たとえば、社内説明で使うのか、SNSで目を止めてもらうのかで、必要な方向は変わる。見る相手がAIに詳しい人か、初めて触れる人かでも、難しさの見せ方は変わる。そして「落ち着いた」「親しみやすい」「力強い」といった雰囲気があれば、最初の方向を出す材料になる。

一方、構図の細かな位置、色の濃さ、文字の大きさなどは、目の前に案が出てから判断する。見て初めて分かる違和感まで、制作前にすべて言葉へ変えようとしない。

判断する時点 以前の頼み方 変えた頼み方
初案の前 雰囲気、構図、色、文字を先に決める 用途、相手、雰囲気を伝える
初案を見た直後 指示どおりかをまとめて確認する 残したい点と、一番直したい点を分ける
修正時 複数の違和感を一度に直そうとする 一回につき一つの修正を返す

この変更で確定したのは、画像の品質ではなく、私が判断する順番である。良い初案が出るか、最終的な修正が少なくなるかは、まだ別に確認する必要がある。

転換点は、初案を「答え」ではなく会話の材料にしたこと

考えが変わったきっかけは、すでに音声入力で相談している自分に気づいたことだった。完成条件を整えた文章ではなくても、話しながらなら「こんな感じにしたい」「ここは違う」と自然に言える。ならば画像の依頼も、完成形を一度で当てる試験ではなく、見える案を間に置いた会話にできる。

以前は、初案を最終回答に近づけるため、依頼文の段階で正解を指定しようとしていた。変更後は、初案を方向確認のための仮案として扱う。仮案があると、「もっと明るく」のような曖昧な感覚だけでなく、「人物は残す」「背景だけ軽くする」のように、残す部分と変える部分を分けやすい。

これは、長い指示文を書く技術の話ではない。白紙の前で全部を決める負担を減らし、見てから決められる判断を後ろへ送る話だ。

たとえば最初の依頼は、次のように短くてよい。

社内説明に使う横長の画像です。見る相手は、画像生成AIに詳しくない会社員です。落ち着いているけれど、難しく見えない雰囲気で、まず一案を出してください。細かな文字や色は、案を見てから相談します。

これは実際の成果を示す文ではなく、三項目から始めるための記入例である。会社名、顧客名、未公開の数字などを音声で勢いよく含めないことも欠かせない。音声入力へ渡す情報の境界は、SiriとChatGPTへ送ってよい情報を三つに分けた記録で整理している。

明日試せる、30秒の音声依頼手順

最初から自然に話そうとすると、説明が長くなりやすい。そこで、30秒を三つの区間に分ける。目的は美しい文章を作ることではなく、初案に必要な方向だけを渡すことだ。

0〜10秒:用途を一つ伝える

最初に「どこで何のために使う画像か」を一つだけ話す。

用途: 来週の社内説明で、最初の一枚として使う横長画像

「資料にもSNSにもブログにも使いたい」と用途を増やすと、見る人も役割も混ざる。まず一枚の使い道へ絞る。

10〜20秒:見る相手を一人に絞る

年齢や職種を細かく設定する必要はない。「このテーマをどれくらい知っている人か」が分かれば、最初の方向を決めやすい。

相手: 画像生成AIをまだ仕事で使っていない同僚

20〜30秒:雰囲気と初案の役割を伝える

雰囲気は一つか二つの言葉にする。そして、完成品ではなく方向確認の一案が欲しいと明示する。

雰囲気: 親しみやすく、子どもっぽくない
依頼: まず一案を出して。細かな構図、色、文字は見てから相談したい

三つを続けて話したら、そこで止める。初案が出る前に追加条件を思いついても、必須でなければ保留する。出てきた案を見た後は、「残したい点」を一つ、「最初に直したい点」を一つ言う。修正を一度に詰め込まず、一回につき一つ返すのが、この試し方の基本である。

初案を見た後は、五つの確認欄だけを見る

初案が出た後も、すべての違和感を一度に直そうとすると、再び選択が増える。私は次の五欄で、何を残し、何を先に直すかを分けて記録することにした。

確認欄 見ること 返答の例
用途 使う場所で役割を果たせそうか 「説明の入口としては使える」
相手 見る人に難しく見えないか 「専門的に見える背景だけ軽くしたい」
雰囲気 最初に伝えた感覚と大きく外れていないか 「落ち着きは残したい」
構図 最初に目が行く場所は意図と合うか 「人物より見出しを先に見せたい」
文字 読めるか、そもそも今入れるべきか 「文章は入れず、短い見出しだけにしたい」

五欄を全部直す必要はない。最初の一回では、残す点と直す点を一つずつ選ぶ。どちらも言えない時は、依頼が曖昧だった可能性だけでなく、用途自体がまだ決まっていない可能性もある。その場合は画像を直す前に、「何に使う一枚か」へ戻る。

この確認表は、AIに正解を採点させるものではない。自分の感覚を次の一言へ変えるための補助である。評価項目を増やして精密にするより、次の会話が始められる少なさを優先する。

まだ効果を断定しない。次は同じ条件で測る

ここまでで私が実際に確認したのは、音声入力で相談する中で、毎回の細かな選択を負担に感じていたことと、「全部決めてから頼む」方式から「一案を見て会話で詰める」方式へ判断を変えたことまでである。

初案の品質が上がった、完成までの時間が短くなった、修正回数が減った、という結果はまだない。音声認識が固有名詞を取り違えることもある。ブランドカラー、法令上必要な表示、正確な寸法のように外せない条件は、初案の前に明示すべきである。曖昧さを残してよい部分と、最初から固定すべき部分は分けなければならない。

使える生成・編集機能もサービスによって変わる。現在の機能を前提にする時は、利用中サービスの公式案内を確認する。画像生成については、OpenAIのChatGPT Images 2.0公式発表も確認先の一つになる。

次回は同じ用途の画像を二通りで作り、次の五項目を記録する予定だ。

  1. 最初の依頼にかかった秒数
  2. 初案を見て「方向は使える」と判断できたか
  3. 完成と決めるまでの修正回数
  4. 最初から最後までにかかった分数
  5. 選択の負担を五段階でどう感じたか

比較する時は、題材や用途を変えず、Aは細部を先に決める方式、Bは30秒の音声と初案後の会話にする。同じ条件で画像生成の差を見た例として、同じ指示から二つの画像生成AIでKDP表紙を比べた実測も、条件をそろえる考え方の参考になる。

今の段階で言えるのは、良い画像を約束できることではない。すべての判断を白紙の前で終わらせなくてもよい、と頼み方を変えられたことだ。

明日試すなら、作りたい画像を一つだけ選び、用途、相手、雰囲気を30秒で話す。初案が出たら、残す点を一つ、直す点を一つ返す。結果を良く見せず、依頼時間と修正回数を記録する。そこまで行って初めて、この頼み方が自分の仕事に合うかを判断できる。